2012年12月21日

最近、考えたこと。

唐突ですが、経営データの読み方の基本として現状分析と変化分析がよく上げられますが、あれは人間関係を始め、ほかのことにも言えるような気がします。

たとえば、ある会社の今年4月の売上高が1500万円、営業利益が150万円だったとすれば、現状では売上高営業利益率は10%ということになりますから、かなりの高収益です。でも、果たしてこの数字からだけで何も問題がないと考えて良いのか。現在の段階では高収益率でも、今後同じペースで利益率を維持できるかは誰にもわかりません。

そのとき役立つのが過去の同じ月のデータというものです。

もしも一年前の同月の売上高が1000万円で営業利益300万円だったとしたら。現在は売上高が1.5倍ですが、営業利益は1/3に落ちていることになります。つまり「増収減益」と言う、ある意味、もっとも事業を行う上で危険な状態(落とし穴)にあることが見えてきます。

企業においては、設備投資はもちろんのこと、人の増員や事業スペースの拡大、研究開発や広告宣伝など、短期的には収益性を犠牲にすることになっても規模の拡大を進め、「増収減益」となる場合も少なくありません。ただし、これは短期的に容認できる範囲であって、他の月次においても同様に減益が続いているとしたら見方を変える必要があります。
つまり月次決算のデータは、赤字への警告と言う、黒字の段階からすでに見逃すことができない重要な警告を発していることになります。

これと同じことが人間関係にも言えるのではないか。

ある人との関係が気まずくなるのには、その段階である決定的な原因が発生したようについつい私たちは考えがちですが、実は良好と思えているときにこそネジは徐々に緩みだしているのではないか、そう思います。また国と国との関係にも、たとえば日本と中国の軋轢が最近は尖閣諸島国有化一本に絞られがちですが、果たしてそうか。国交回復40年の間、様々なことがあったにしろ、むしろそれが慢性化し出したころからすでにどこかでヒビ割れは始まっていたのではないか。

小林秀雄が『プルターク英雄伝』という小論で、政治とは所詮「人性」であると言いっています。
そして近代になってから政治を眺める視点が「人性」から離れ、目まぐるしく変貌する物的生産の技術や機構、また法律や制度、党派や綱領、組織へと移ってきたことを前提に、それでも根本の「人性」で動くことは変わらず、むしろそのギャップが広がった点にこそ本質的な問題が孕まれていることを鋭く指摘しているのです。少し長いですが引用します。

「言葉にたよる或は権力にたよる成功は一時であろう。何故かというと、彼等は、民衆の真相に基づいた問題の難しさに直面していないからだ。彼等の望んでいるものは、実は名声に過ぎず、抱いているものは名誉心だけである。彼等の政治の動機は必ずしも卑しくもないし、政治の主義も悪くない場合もある。だが、彼等は、この宙に浮いた名誉心にすがりつき、これを失う恐怖から破滅するらしい。民衆から受けた好意を、まるで金でも借りたように感じ、これを返さねばならぬと思う。返さないのは恥であり、不正であると思い込む。だから、直ぐ新しい有益な政策を考え、もっと大きな名誉という借金をする。止め度がない。『彼等は、民衆に負けまい、民衆も彼等に負けまいという風に、名誉心に駆り立てる』。宙に浮いた正義心というものも、この宙に浮いた名誉心と結びやすいもので、同じ運動をするのである」

これを書いたのが昭和35年、う〜んと思わず唸ってしまいました。

政治家と個々の有権者の関係の力学が現在にもまったく過不足なく通じ、実に巧みに分析されています。
なるほどなあ、俺もついつい選挙なんかが近づくと、主義主張なんか柄にもないことをぶちまいて、『政治家』に負けまいとしているもんなあ。これじゃあ、だめなんだよな。なんてったって、彼らは虚構であり、自分らの無意識を絞り出したような写し絵に過ぎないんですから。同次元の言葉を使って対峙するのでなく、ぐっと隣に引き寄せ、着飾った言葉で防御した身ぐるみを「生活」という泥臭い実態でひっぺ返す必要があるのではないか、そう思うのです。

で、話を最初に戻すと、慢性化した段階というのは、この「生活」への寄り戻しがおろそかになり、何となくうまくいっているなという虚飾の言語や数値で彩られた世界に酔いしれているとき、実はじわじわと会社経営の傾きも、人間関係の軋轢や抑圧も、国と国との断絶も、その萌芽が始まっているのではないか、というのが自分を振り返ってみての最近ちょっと考えたことなのです。
posted by あそびと at 09:42| 熊本 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 代表のつぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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