2006年08月24日

「自立」や「労働」や「介護」っていったい何なのか、考えるいい機会になりそうです。

「障害者自立支援法」 マメ知識

○平成17年10月31日、障害者自立支援法が国会で成立しました。

1.主な変更点はつぎのようになります。

@精神、身体、知的の三障害が、一元化しました。・・・公費負担医療(精神通院 医療「精神福祉法」、更生医療「身体障害者福祉法」育成医療「児童福祉法」)が自立支援医療「自立支援方法」に一本化されます。

Aサービス体系の変更が始まりました。・・・「日中活動の場」(主に作業の部分)と「住まいの場」を分け、組み合わせることで選択肢は増加します。ただし「福祉サービス量に対する原則一割負担」+「食費、光水熱は実費負担」となり、利用料が必要となります。

B決定の仕組みの変更・・・「障害程度区分」の導入です。これまでの支援費制度で確立されつつあった「個々のニーズ」から「六段階程度の区分」へ変わって行きます。

2.それぞれの問題点の一つを上げてみます。

@について
精神障害者通院公費負担医療(精神保健福祉法32条)の廃止。
精神障害者の方たちにとって、「障害」という認知と保障を法によって受けることは、これまでいわれなき「差別」と対峙することが多かった点からすれば大きな一歩でしょう。
ただし、これまで、95%公費負担(国)で残りを自治体が上乗せ(実際は無料)されていた通院のための公費負担が消え、自己負担に耐えかねて、自分で医療抑制する危惧もあり、心配されています。

Aについて
※月額負担上限額は、どうなるのでしょうか?(ホームヘルプ利用の場合)

生活保護者・・・0円
低所得者1(市町村民税非課税で年収80万以下「2級年金(79万4500円/年)のみの方」)
・・・15,000円
低所得者2(市町村民税非課税で年収80万以上「1級年金(99万3100円/年)の方」)
・・・24,600円
一   般(市町村民税課税世帯)・・・37,200円
              ↓
ただし、同居人(住民票が同一世帯)がいる場合、世帯全員の収入を合算して、自己負担額が決定。
例えば、4人家族で4人の収入の合計で市町村民税世帯となれば、本人収入がなくとも上限37,200円。

●夫(障害者)と妻(健常者)の県内のあるケースの様子を聞いてみました。

結婚後、妻がしばらくケアしていたが、生活も落ち着き、専門学校へ。
その間は、民間の訪問ヘルパーに、いろいろ苦労しながらも、なんとか時間をかけてつなぐ。
無事この春、卒業。さあ、就職しよう。ところが・・・!!
4月に法改正→自己負担の発生。
毎月、最低80時間必要。→1万6000円の負担。(家事援助1700円〜身体援助3500円)
とうとう5月は払えなかった。(事業所に待ってもらった)
妻。もう一度、家に入ろう(自分が外で働く「自分のことだけやっているのではという」罪悪感。夫は外に出してあげられない申し訳なさ)
現在。午前中は、妻がケア。午後だけアルバイト(ヘルパーは使わず母親に来てもらう)
けっきょく妻に、時間的にも精神的にも大きなしわ寄せがきている状態だそうです。
★トイレ、食事といった生活するのに最低限必要なこと(生きるための)は、無料で保障してほしい
とのことでした。

Bについて
 一次判定は、106項目を『できる/できない』で記入してもらい、コンピューターで判定。勘案事項を経て、六段階を決定します。
  70数項目は、介護保険と同じで、ADL(日常生活動作)中心の「自立」感は否めません。

3.小規模作業所「夢屋」の今後はどうなるのでしょうか?

7月〜NPOを取得しました。既に「夢屋プラネットワークス」として出発しています。
10月〜地域生活支援事業の中の「地域生活支援センター」へ移行できればと考えています。
五年かけ市町村で整備することになっていますが、補助が今後どうなるかは、未定です。
自立支援給付事業の「就労移行支援事業(非雇用型)」か「就労継続支援事業(雇用型)」へ展開していくのか大きな節目にあることは、間違いありません。

4.これから、考えていかねばならないことはなんでしょう。

@「自立」とはいったい何かを問い直しています。

A:「これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な(中略)給付を行うため(中略)介護保険を設け」(「介護保険法」第一条・目的)

B:「障害者及び障害児がその有する能力及び適正に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い」(「障害者自立支援法」第一条・目的)

C:「この法律の対象者が、人間の尊厳にふさわしい、可能な限り独立し、かつ自立性のある生活が可能となるよう」(「○○○○○○○法」)

さてCは、どこの法律でしょうか。サッカーのワールドカップが開催された国と言えばおわかりになるでしょう。そうです。ドイツ介護保険法です。その文面には、「能力」も「適正」もありません。あるのは「人間の尊厳」という一字。
みなさんは、この三つの法律の違いをどう思われるでしょうか。

A「介護」とは何かを問い直しています。
○『できる/できない』から零れ落ちるものは・・・。
自己決定や理解のための精神機能に対する具体的かつ的確な支援の存在があります。
・・・見守り、傾聴、促し、情報提供、サジェスチョン(暗示、ほのめかし)
 人間の「心」の部分を深く探ったり察知し、かかわっている良質な支援者、事業者が排除されかねない場合も考えられます。利用者だけの問題ではなく、サービスを提供する事業者側にもきな変化を与えることは間違いありません。(だから「大変」なことなのですね。)

○一日24時間介助が必要なケースから見えてくるものは・・・

ざっと、720時間/月(31日では744時間)です。
単純計算で、現在のホームヘルプの単価で、少なく見積もっても、およそ150万円/月。
この費用(税負担)を、私たち国民の一人一人がどういう視点で捉え、どう感じているかが大事なのではと、そんなことを、ふと考えてみました。

B「労働」とは何かを問い直しています。
〜儲けることが、そんなにいけませんか!!〜と言った人がいますが・・・。

「労働=儲ける」⇔「たとえ一銭にならなくとも、自分のもついろんな力を外に出し、社会や仲間とつながり、社会の一員として役立ち、人生の充実につながる」(極論ではありますが・・・)

これは、すでに奇麗事なのでしょうか?

健常者を含め、私たち一人一人が今を、どう生きているのか。
そのヒントやときに羅針盤のような役割を果たしてくれていたのが、障害者や高齢者だったと、思っているのですが。
posted by あそびと at 06:54| Comment(2) | TrackBack(2) | 代表のつぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は、ある障害者と関わりのある者です自立支援法…という法律が出来たことはもちろん、存じますけれども…知識度の少ない私に…(苦笑)一体何が出来るかと苦しみ悩んでる時にこちらの代表さんの記事拝見させて頂きとても分かりやすくいくつか勉強になる部分もありました。本当に助かります!!有難うございました特に、県内のケースある…ご夫婦さんのお話しを読みまして涙が止まりません。こんな苦しんでる方いらっしゃって一体何が、支援法だ!!と怒りが…すみません熱くなってしまいνそして最後のお言葉凄く…感動しました私は、貴方にヒント頂きました。今回の記事を参考にさせて頂きましていくつか私も今までの考えを改めなければと思い反省しております。『喝』頂いた気分でとても有り難いです
Posted by 仙酔峽 at 2006年08月25日 21:52
本当に自立支援法に言う「自立」とは何なのか?行政職員で「こりゃおかしい」と思う人はいないのか?上から言われた仕事を片付けるだけなら、ただの「僕」では?どうせ「僕」なら市民の僕になるべきでは?と言いつつも、じゃ自分は何をすればいいのか、何とか夢屋さんの灯を消さないように・・・・何ができるか考えまーす宮もっちゃんもがんばって!
Posted by 阿蘇の風 at 2006年09月06日 16:42
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NHKクローズアップ現代 職場を去る障害者 自立支援法の波紋を観る
Excerpt: 自立支援法制定の結果、応益負担になり、利用料が工賃を上回ってしまい、施設を去る障害者が続出している。 僅かな年金と工賃で暮らす障害者にとって1割負担は深刻な金額になっている。 施設への援助金も人数に..
Weblog: 福祉関係ニュース
Tracked: 2006-08-26 22:27


Excerpt: 身体障害者福祉法身体障害者福祉法資格身体障害者福祉司条文より抜粋第1章 総 則法の目的第1条 この法律は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護..
Weblog: 高齢者・福祉ETC
Tracked: 2007-07-28 13:38
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